風営法許可

【2025年風営法改正】名義貸し・無許可営業の罰則が激化!行政書士が徹底解説

はじめに

2025年に施行された風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の改正は、ナイトビジネス業界に激震を与える内容となりました。

特に無許可営業や名義貸し、実質的経営者の偽装など、従来見逃されがちだった“グレーゾーン”に対して、明確な罰則強化と摘発強化が行われた点が大きな特徴です。

個人事業者には最大1,000万円、法人には最大3億円の罰金、さらに営業停止や違法収益の没収制度など、厳しい行政処分・刑事処分が可能となりました。

野口 優夜
野口 優夜
本記事では、風営法に特化した行政書士の視点から、今回の改正内容をわかりやすく解説するとともに、実務上どのような点に注意すべきか、許可取得や営業維持のポイントも交えて詳しくご紹介します。法改正の本質を理解し、安定した営業体制を築くための参考にしてください。

改正の背景と目的

風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)は、社会秩序の維持と善良な風俗の確保を目的として1948年に制定され、以後、社会情勢の変化に応じて何度も改正されてきました。

2025年の改正は、特にデジタル化やSNSの普及によって表面化した新たな問題に対応するために行われました。従来の規制では対応しきれなかった“隠れ営業”や“名義貸し”などの実態を踏まえ、刑事罰・行政処分の厳格化と、監督体制の見直しが進められました。

主な背景は以下の通りです。

  • 無許可営業の増加(SNSやアプリを活用した“隠れ営業”)
  • 色恋営業・売春斡旋・擬似恋愛トラブルの増加
  • 名義貸し・実質的経営者の偽装による違法営業の横行
  • 若年層や高齢者を巻き込んだ高額請求被害の深刻化
  • 住民トラブルや近隣通報件数の増加

これらの社会的課題に迅速かつ的確に対応するため、今回の法改正が実施されたのです。

2025年改正の主要ポイント

1.無許可営業に対する罰則の大幅強化

2025年の改正により、無許可営業に対する刑罰が従来より大幅に引き上げられました。
改正前: 2年以下の懲役または200万円以下の罰金
改正後

  • 5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(個人)
  • 法人の場合は、最大3億円以下の罰金
  • 両方の併科も可能(例:拘禁刑1年+罰金500万円)

さらに、犯罪による収益の没収制度(組織的犯罪処罰法 第13条)が適用され、違法に得た売上や利益は国により没収される可能性があります。

特に売春斡旋やSNS等での無許可営業は、厳しく摘発されやすくなっています。

2.名義貸し・実質的経営者に対する罰則強化

これまでは申請者に対する審査が中心でしたが、改正後は実質的な経営者にも厳しい監視が及ぶようになりました。
新たな明文化により

  • 名義を貸与した人物も罰則の対象
  • 実質的経営者が無許可で営業していた場合も、無許可営業として摘発

これにより、形式上だけ名義を変えて営業する「名義貸し営業」や、裏経営者の存在が発覚すれば、即時の営業停止や許可取消、刑事処分に発展するリスクが飛躍的に高まっています。

3.行政処分の迅速化・強化

違反行為に対する行政処分の運用も大きく変わりました。

  • 初回違反でも重大性があれば即時の営業停止命令が可能
  • 「注意→指導→処分」という従来の段階的措置を省略可能
  • 過去5年以内の違反歴がある場合、許可取消の判断が迅速に行われる

つまり、軽微な違反でも「悪質性」や「継続性」が認定されれば、一発アウトになるケースも十分にありえます。

4.警察による監督体制の強化

事後チェック体制も強化されています。

  • 定期的な立入調査の頻度が原則「半年に1回以上」に設定
  • 営業日誌・従業員名簿の整備が義務化
    (未提出・記載漏れ・虚偽記載は即処分対象)
  • 匿名通報制度の導入により、近隣住民や従業員からの通報をもとに、警察が迅速に調査・摘発を実施

こうした監視強化により、「バレなければいい」「形式上だけ整えておく」といった経営姿勢では、今後の運営は極めて困難になるといえます。

実務上の注意点と対策

2025年の改正を受け、風営法における「審査の目」はますます厳しくなっています。

単に許可申請書を提出すれば良い時代は終わり、営業実態と法令遵守の整合性をいかに保てるかが問われています。以下は、現場で特に重視すべきポイントです。

1.「接待」の認定基準を再確認

風俗営業許可が必要かどうかの分岐点となるのが「接待行為」の有無です。次の行為がひとつでも該当すれば、接待と判断されます

  • 客の隣に座ってサービスを行う
  • 継続的に談笑する・会話の相手をする
  • お酌、カラオケのデュエット、身体的接触(ハイタッチや肩に触れるなど)

「うちは接待してないつもりだった」としても、警察は客観的な営業実態を重視するため、意図と異なる認定がされることも珍しくありません。接待があると判断されれば、深夜営業は不可となり、風俗営業の許可が必須になります。

2.店舗構造・図面と実態の整合性を確保

風営法の審査では、構造基準も厳しくチェックされます。

以下はよくある違反事例です

  • パーテーション・カーテン等で客席を区切っている
  • 店内が暗すぎて照度基準を満たしていない
  • 出入口や従業員控室の配置が図面と異なる

申請時の図面と、実際の完成状態が一致していない場合、審査落ちや是正命令の対象となります。行政書士と設計士が連携して、最初から「審査基準をクリアする図面」で設計することが重要です。

3.営業者の人的要件と名義確認

申請者や実質的経営者が以下の要件に該当すると、審査段階で問題視され、許可が下りないことがあります。

  • 暴力団関係者である、もしくはその疑いがある
  • 成年被後見人、被保佐人、復権していない破産者
  • 実質的経営者と名義人が一致しておらず、名義貸しを疑われる場合

これらはすべて警察のバックグラウンドチェック対象です。

とくに近年は、実質経営者の調査が強化されており、書類上はクリアでも裏で別人が経営している場合は、即却下や営業停止の対象となりえます。

行政書士ができること

風営法に基づく営業を成功させるためには、単なる書類提出ではなく、法令・構造・人的要件すべてを網羅した戦略的な準備が必要です。

弊所は、次のような包括的サポートを提供します。

  • 営業可能な物件選定:用途地域や保全対象施設との距離制限を調査し、「そもそも申請が通らない立地」を避ける支援
  • 図面監修と内装チェック:カウンター形状・照度・出入口配置など、構造基準に基づいた内装設計をサポート
  • 書類作成と申請代理:煩雑な必要書類の整備から警察署への申請提出までをワンストップで対応
  • 警察との事前協議や立入調査への同席対応:現地確認や面談時に、事業者と警察の橋渡しを担い、トラブルを未然に防止
  • 名義貸し・人的要件のリスク排除:事前に欠格事由や実質経営者の問題を洗い出し、摘発リスクを最小限に

このように、行政書士は単なる「申請代行」ではなく、開業成功のパートナーとして伴走する存在です。

まとめ:風営法許可は「実態重視・即処分」の時代へ

2025年の風営法改正により、従来の“形式的な審査”から、実態に基づく厳格な運用へと大きくシフトしました。

許可を取得するだけでなく、取得後の運営管理においても法令遵守の徹底が求められます。

  • 書類上の整合性だけでなく、営業実態・構造・人的要件などが警察により厳しくチェックされる
  • 一度の違反でも、即営業停止や罰則、収益の没収対象になるケースがある
  • 住民・従業員からの通報が摘発の直接的な契機になることも多く、日常の運営体制も重要

このような背景から、今後は“リスクを未然に防ぐ”経営戦略が不可欠です。

野口 優夜
野口 優夜
風営法に精通した行政書士と連携し、物件選定・構造設計・申請戦略・運営体制まで、一貫して法令に即した準備・運営を行うことが、長期的な安定経営を実現する最善策といえるでしょう。