はじめに
飲食店の開業には、保健所や消防などへの手続きが必要ですが、業態によっては警察署への申請が必要となるケースもあります。特にホストクラブ、キャバクラ、スナック、パブなどで「接待」を伴う営業を行う場合は、風俗営業許可(風営法第2条第1項第1号)が必須です。
1.風俗営業許可とは?
① 風俗営業許可の基本的な定義
風俗営業許可とは、キャバクラやスナック、ホストクラブなど「接待」を伴う飲食店を営業する際に必要となる許可です。風営法第2条第1項第1号に基づき、「客の接待をして遊興または飲食をさせる営業」が該当し、単なる飲食店営業許可とは別に、警察署を経由して公安委員会の許可を取得しなければ営業できません。
② 対象となる店舗業態の具体例
「接待」を伴う業態とは、ホストクラブ、キャバクラ、スナック、ラウンジなどが代表例です。これらの店舗では、従業員が客の隣に座り、会話・お酌・カラオケの盛り上げなど、歓楽的な雰囲気の中で客をもてなす接客を行うため、風俗営業許可の取得が法的に義務付けられています。
③ 和歌山での営業における注意点
和歌山で風俗営業を行う場合も、事前に所轄警察署への申請と審査が必要です。違法営業が発覚すれば、営業停止や罰則の対象になるため、事前に用途地域や保護対象施設の有無なども確認し、風営法に精通した行政書士への相談が安心です。
2. 「接待」とは何か?
① 風営法における「接待」の定義
風営法第2条第3項において「接待」とは、客に対し歓楽的雰囲気を作り出してもてなす行為を意味します。具体的には、ホストやキャバ嬢が特定の客と会話を重ねたり、感情的な交流を演出することが該当します。接待を行う場合、風俗営業許可が法的に必要です。
② 接待に該当する主な行為
風俗営業に該当する行為には、お酌、乾杯の誘導、一緒に歌ったり手拍子をする、身体的な接触を伴う接客、ゲームを一緒に楽しむなどが含まれます。和歌山でホストクラブやキャバクラを開業する場合、これらの行為を前提とするなら風俗営業許可の取得が不可欠です。
③ 接待に該当しないケースの例
一方で、カウンター越しでの世間話程度や、不特定多数に向けたディナーショー形式のパフォーマンスは「接待」に該当しません。たとえば、バーで軽い会話をする程度であれば、風俗営業許可は不要です。業態ごとの接待基準を正確に理解することが重要です。
3.許可を取得するための主な3つの要件
①場所的要件:用途地域と保護対象施設の制限
風俗営業はどこでも開業できるわけではなく、和歌山でも用途地域の確認が必須です。営業が可能な地域は「商業地域」「近隣商業地域」などに限られ、条例によっては「準工業地域」が認められる場合もあります。
また、店舗から半径100m以内に学校や病院、図書館、児童福祉施設などの「保護対象施設」があると、営業許可は下りません。
事前に不動産業者や行政書士と連携して、対象地域かどうかを慎重に確認しましょう。
②設備的要件:構造基準と内装制限をクリアする
風営法第1号営業に該当する店舗では、内部設備の仕様にも厳格な基準があります。
例えば、客室面積は洋室で16.5㎡以上(1室のみなら制限なし)が必要で、扉に鍵を付けることや、視界を遮るパーテーションの設置は禁止です。
さらに、照明は5ルクス以下にならない構造とし、善良の風俗を害するポスターや装飾物の使用も不可です。ダンススペースも原則禁止され、騒音や振動は条例の基準値内に収める必要があります。
③人的要件:申請者・管理者の適格性を確認
風俗営業許可の申請では、経営者や店舗管理者が「欠格事由」に該当しないことが求められます。
たとえば、成年被後見人や破産手続中の者、過去5年以内に禁錮刑を受けた者、暴力団関係者、薬物中毒者などは許可を受けられません。
また、以前に風営法違反で許可を取り消されてから5年以内の者も対象外です。法人の場合は、役員全員と選任される管理者にも同じ条件が適用されるため、事前にしっかりと確認が必要です。
4.風俗営業許可申請に必要な主な書類
① 和歌山で風俗営業許可を取る際の基本書類
風俗営業許可の申請では、まず「許可申請書」や「営業の方法を記載した書類」を提出します。
これらは営業形態や接待内容を記す重要書類で、和歌山の警察署所定の様式が必要です。また、物件の使用権原を証明する「賃貸借契約書」や「使用承諾書」も不可欠で、申請時にしっかり確認されます。
② 図面・身分確認関係の書類も必須
営業所の「平面図」「周囲の略図」は、構造要件や保護対象施設との距離を示すために必要です。
さらに、申請者の「本籍記載の住民票」や「身分証明書(市区町村発行)」も必ず添付します。法人で申請する場合は、代表者や役員全員分の住民票・登記事項証明書・定款なども必要になります。
③ 管理者関連の書類と注意点
営業所には風俗営業法上の「管理者」を置く必要があり、管理者に関する書類も求められます。主なものは「欠格事由に該当しない旨の誓約書」や、規定サイズ(縦3cm×横2.4cm)の「顔写真2枚」などです。
審査は書類の正確性も重視されるため、行政書士に依頼して準備することで、受理率や許可取得のスピードが大きく向上します。
5.許可取得までの流れと期間
① 開業前準備:物件確認と図面作成
風俗営業許可取得の第一歩は、開業予定物件が営業可能な用途地域にあるかを確認することです。和歌山でも地域によって制限があるため、事前の用途地域調査が欠かせません。
次に、店舗レイアウトが風営法の基準を満たすように、内装設計や図面作成を行います。設備の構造により申請可否が左右されるため、早期の設計調整が重要です。
② 書類準備と警察署への申請
図面が整ったら、必要書類を揃えて申請の準備を進めます。和歌山の管轄警察署によって細かな書類の指定が異なる場合があるため、行政書士と事前に打ち合わせを行い、抜け漏れのない状態で申請書を提出します。
書類不備があると審査が遅れるため、プロのチェックを受けることで手続きのスムーズさが確保されます。
③ 審査期間と営業開始までのスケジュール感
申請が受理されると、警察による現地調査と内容審査が行われ、通常は約40日程度を要します。全体として、申請から許可証の交付までに約2ヶ月かかるのが一般的です。
和歌山で店舗をスムーズにオープンするためには、開業の3ヶ月前から準備を開始することが理想的であり、トラブルや遅延を避けるための重要なポイントです。
6.深夜営業との関係に注意
① 風俗営業許可と深夜営業の基本的な違い
風俗営業許可を取得した店舗では、接待行為が認められる一方で、午前0時から午前6時の深夜時間帯の営業は禁止されています(風営法第13条)。
つまり、キャバクラやホストクラブなどで接待を行いたい場合は、深夜営業は行えないことになります。和歌山でもこのルールは厳格に適用されるため、業態に応じた判断が必要です。
② 深夜営業届出では接待は禁止
一方、「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出」(いわゆる深夜営業届)を提出した店舗では、深夜営業は可能ですが、接待行為は禁止されます。
たとえば、バーやダイニングで深夜も営業したい場合は、接客内容を「世間話程度」にとどめる必要があります。接待が行われると、風営法違反として摘発される可能性があるため注意が必要です。
③ 営業スタイルに応じた届け出選択が重要
風俗営業許可と深夜営業届出はどちらか一方しか選べません。
そのため、自店舗の営業スタイルが「接待重視」なのか「深夜営業重視」なのかを見極めたうえで、どちらの制度を利用するかを決定する必要があります。
和歌山での飲食店開業においては、許可選択を誤ると営業停止のリスクもあるため、行政書士による事前相談が非常に有効です。
7.和歌山で風営法に関する開業相談をするなら
風俗営業許可の取得は、物件の選定から設備設計、書類作成、警察対応まで非常に専門性の高い手続きです。和歌山でホストクラブ、キャバクラ、スナックなどの開業をお考えの方は、風営法に精通した行政書士への相談をおすすめします。
当事務所では、
- 開業地の調査と用途地域の確認
- 図面の作成や構造アドバイス
- 書類作成から申請代行までトータルサポート
- 申請後の警察対応まで一括対応
を提供しており、和歌山市内および近郊の多数の許可実績があります。
▶ 無料相談受付中|お気軽にお問い合わせください。
まとめ|和歌山で風俗営業許可を取得して安心の飲食店開業を
ホストクラブやキャバクラ、スナックなど「接待行為」を伴う飲食店を開業する場合、風俗営業許可の取得は法的に必須です。
特に和歌山では、営業可能な用途地域や保護対象施設との距離、構造基準、申請者の適格性など多くの要件を満たす必要があります。
また、深夜営業と接待は両立できないため、営業スタイルに応じた許可選択も重要です。許可申請には煩雑な書類と専門知識が求められるため、風営法に精通した行政書士に相談することで、スムーズかつ確実な開業準備が可能となります。